風  

青山七恵 河出書房 2015年5月


風/青山 七恵
¥1,512
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そうなのよ、これがわたしたちのやり方だわ。絶望的なまでの愛憎、疾走する友情、そして優子は踊らない―とてもとても特別な「関係」の物語。

「ダンス」「二人の場合」「風」そして、表紙の裏に「予感」と4編からなる短編集。

小さい時からずっと踊らない優子、 保険外交員に進められてマーチン具バンドに入隊する姉妹の話など・・・・・

「二人の場合」は、女の友情を描いた作品。同期入社の二人。結婚し子どもができた人と、仕事を続けている人。年月が経ち、環境が変わると、二人の関係も変わってしま う。そういうのって、あると思う。気を使ってまで会い続けるというのは、友情とは違うだろうな。そんな風になってしまうことがなんだか、悲しかった。

旅行から帰ったら、家がなくなっていた。父と母ととおばあちゃんにそのことを話すと、<贅沢なことを言うんじゃないよ。それはおまえがおまえの人生を生きている証拠がないか。>という答え。

これが、すべてを物語っているように思った。誰もが自分の人生を生きているんだなと。

ちょっとひねくれたような作風で、すんなりとはいかない話だった。


お気に入り度★★★