平凡

角田光代 新潮社 2014年5月




平凡/角田 光代
¥1,512
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もし、あの人と結婚していなければ。別れていなければ…。仕事を続けていれば。どんなふうに暮らしたって、絶対、選ばなかった方のことを想像してしまう。6人の「もし」を描いた傑作小説集。



もし、別の道を歩いていたとしたら、今どんな生活を送っていただろう?とふと考えてしまうことがある。そんな人たちを描いた短編集。

別れた相手は、幸せになってほしいか?不幸になってほしいか?

自分より、幸せなら、きっと嫉妬してしまうだろう。自分と別れたから、不幸になったのだ。自分と一緒に入れ場、幸福だったのに~と思いたい。
じゃあ、どこまでの不幸を願うのか?
「平凡」の中で、語られるように、そこまでの不幸を願ったわけではない。
平凡ということの幸せをかみしめた話だ。

子どもの頃、交通事故にあったという少年。自分を跳ね飛ばした人を「許す」のか、「許さない」のか。子どもに、こんな決断をさせるのか?と疑問に思ったが、この子の決断、よかったと思う。
人は、許すことで、前に進むことができるのだと思う。


どの物語も、苦しんでいる気持ちが描かれていて、心に突き刺さる。しかし、その気持ちが、どのように変化していったのかが、す~と心に入っていった。

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