とっぴんぱらりの風太郎

万城目 学 文藝春秋 2013年9月


とっぴんぱらりの風太郎/文藝春秋
¥1,995
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天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1 個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目 指す風太郎の前に現れたものとは?



最初のアクションからドキドキ!
そ の後、伊賀を追い出され京に入ってからは、ひょうたん作りを始めるなど、おだやか(?)な暮らしに入り、因心居士につきまとわれる。そして、次第に戦乱の 世に変わっていく。ひょうたんまで加わって、話しはどの方向へ行くのかまったく予想がつかず、先を読まずにはいられなかった。

殺し合いの場面は、多くあったが、ある時、子どもを斬る風太郎。子どもの命を奪ったことに対する罪悪感を感じる。その時、芥下の言葉を思い出す。
「ならば、風太郎もいつか誰かを救えばよい。」

これが、風太郎のその後の行為に結びつくのだろう。



最後のほうで、蝉が「儂はとても嬉しかったのだよ」といい、ある決心をするところがあったが、しのびとしての立ち位置がわかる。だれに感謝されることもなく、命じられた仕事をしなければいけない。なんか、切ない仕事だな・・・・・・・



仲間が自分のために、命を張ってくれる。この行為に胸が熱くなる。

風太郎、よく頑張ったよ。

ぶっきらぼうだった芥下。手厚く看病した百。風太郎のことが好きだったんだな~。

風太郎も蝉も常世も黒弓も百も芥下も、そしてひさご様もみんなみんな愛すべき人たち・・・・・・・・


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