夢幻花

東野圭吾 PHP研究所 2013年4月


夢幻花(むげんばな)/PHP研究所
¥1,680
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独り暮らしをしていた老人・秋山周治が何者かに殺された。遺体の第一発見者は孫娘の梨乃。梨乃は祖父の死後、庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、ブログにアップする。ブログを見て近づいてきたのが、警察庁に勤務する蒲生要介。その弟・蒼太と知り合った梨乃は、蒼太とともに、事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。西荻窪署の刑事・早瀬らも、事件を追うが、そこには別の思いもあった。

「黄色いアサガオだけは追いかけるな――」。禁断の花をめぐり、驚愕の真相が明らかになる長編ミステリ。







冒頭の話が、どうつながっていくのかとわくわく!
あの中学生の恋はどうなったのか?黄色いアサガオは新種なのか?
思わぬ方向に話が展開していっておもしろかった。

梨乃の祖父の事件を捜査する刑事早瀬の人生も描かれて、話に深みをもたせている。そう、秋山と早瀬は以前接点があったのだ。

そう、事件解決という話にとどまらず、この事件を担当する刑事の人生も絡め、秋山梨乃や蒲生蒼太にも、悩みがあり、その解決にも話を持っていく。

自分の道を決められていること。それが、負の遺産であっても、引き継ぐことを厭わない。強い覚悟と信念を持った若者がいるということ。

自分が信じた路を進んできたのに、いつのまにか迷子になっている。

自分の進路が、今では、希望のない研究だとわかっても、これからも続けようとする決意。

そんな多くのことをも物語っているミステリーだった。


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