友罪

 
薬丸岳 集英社 2013年
友罪/集英社
¥1,785
Amazon.co.jp

―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?―
ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!
ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。 しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていく。事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったこと をきっかけに、鈴木に好意を抱いている。益田はある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連 絡を受ける。13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめ る・・・・・・


同僚が、少年時代罪を犯した凶悪犯とわかったら、今まで同じように接することができるだろうか。
できないだろうな。猟奇的な殺人を起こすような人の考えは理解できない。心を入れ替えたといっても、また、そんな行動に出ないという保証はないのだから。

かといっても、その凶悪犯が、更生することはないというわけでもないのだけれど・・・・・

高校時代の桜井のことでの引きずっている益田。息子のことで罪を償っているという山内。保護観察官として、職務を重視したため、息子とうまくいってない弥生。過去におびえる事務員の美代子。この人たちが、どう関わってくるのか・・・・・・・・・

益 田は、鈴木から友達と言われても戸惑う気持ちがある。一方で、鈴木のことをネタに売ろうとか、自分のジャーナリストとしての再起のために利用しようとか、 そんな悪い考えがあるわけでもない。しかし、鈴木を認めることは、世間からの反発をまともに受けることになる。それをはねとばしてまでも、実行に移すだけ の勇気もない。
益田の苦悩が、そのまま感じられた。

それにしても、AV女優のその後を記事にしたり、鈴木のことを面白おかしく記事にしようとするジャーナリストのやり方には腹が立ったな。
 

罪を償うということに、どれが正解ということはないのだと思う。いろいろと考えさせられr内容だった。


お気に入り度★★★★★