無垢の領域

桜木紫乃 新潮社 2013年7月


無垢の領域/新潮社
¥1,575
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知らないままでいられたら、気づかないままだったら、どんなに幸福だっただろう――革命児と称される若手図書館長、中途半端な才能に苦悩しながらも半身が 不自由な母と同居する書道家と養護教諭の妻。悪意も邪気もない「子どものような」純香がこの街に来た瞬間から、大人たちが心の奥に隠していた「嫉妬」の芽 が顔をのぞかせる――。いま最も注目される著者が満を持して放つ、繊細で強烈な本格長篇。


書道家・秋津。養護教諭をしている妻・伶子。夫婦には、介護の必要な秋津の母親がいる。生計は伶子が担っている。
図書館長・信輝。大人の正常な判断力のない妹の純香と暮らすことになる。

人生に背負うものがある人たち。そんな人たちの心の変化が細やかに描かれている。
わあ、心理描写がうまいなあとしみじみと思う。

純香はまっすぐすぎて、世の中をひとりでわたっていくことは、無理だろう。
けれど、私、純粋無垢な純香、好きだった。だから、突然の話の展開に戸惑うばかり・・・・・・・・

閉塞感はあるが、ミステリーの部分もあり、大人の心の奥を覗いたような気分になった。


お気に入り度★★★★