色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上春樹 文藝春秋 2013年4月
色彩を持たないというのは、名前に色の名前が入ってないという意味と同時に、自分自身に色を持っていない、個性がないと思っている多崎つくるの喪失と再生の物語だ。
つくるは大学2年生の7月から、翌年の1月にかけて、死ぬことだけを考えて生きていた。それには理由があった。高校時代の友人4人から、「お前とは顔を合わせたく ないし、口もききたくない。」と言い渡される。理由の説明もない。高校の時、可能な限り5人で一緒に行動していた5人のグループだったのだから、つくる の心中を察することができる。
それから16年以上たったつくるは、駅を作るという仕事をしている。そして、旅行会社に勤務する2つ年上の沙羅というガールフレンドがいる。
5人のことを沙羅に話したつくるは、沙羅から、4人の友達から拒絶された理由をそろそろ明かしてもいいんじゃないかと言われ、4人に会いに行くことに~。
そしてわかった事実・・・・・・・・
それは、思いもよらない出来事だった。
関係を切られた方も切る方もつらい。
つくるだけが、ひどい目にあった犠牲者だと思っていたのが、本当はそうじゃなかったのかもしれないことを知る。それぞれに傷つき、苦い思いを背負っていることを。
今は、バラバラになってしまった5人。たとえ、4人から拒絶された事実があったとしても、高校の時にすごした時間は、貴重なものだったのだと思う。
つくるは、つくるなんだし、以前からの夢だった駅を作るという仕事もちゃんとしているのだから、もっと自信を持てばいいのだ。作るという行為は、どんな小さなものでも、前向きに進んでいると作者は言っているように思う。
緑川が語った話や6本指の話等、現実から離れた話も挿入されているのは、作者の特徴のある文章だ。
つくるが沙羅とこれからの人生を歩んでいけたらいいなと思った。
お気に入り度★★★★
村上春樹 文藝春秋 2013年4月
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良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは…。
色彩を持たないというのは、名前に色の名前が入ってないという意味と同時に、自分自身に色を持っていない、個性がないと思っている多崎つくるの喪失と再生の物語だ。
つくるは大学2年生の7月から、翌年の1月にかけて、死ぬことだけを考えて生きていた。それには理由があった。高校時代の友人4人から、「お前とは顔を合わせたく ないし、口もききたくない。」と言い渡される。理由の説明もない。高校の時、可能な限り5人で一緒に行動していた5人のグループだったのだから、つくる の心中を察することができる。
それから16年以上たったつくるは、駅を作るという仕事をしている。そして、旅行会社に勤務する2つ年上の沙羅というガールフレンドがいる。
5人のことを沙羅に話したつくるは、沙羅から、4人の友達から拒絶された理由をそろそろ明かしてもいいんじゃないかと言われ、4人に会いに行くことに~。
そしてわかった事実・・・・・・・・
それは、思いもよらない出来事だった。
関係を切られた方も切る方もつらい。
つくるだけが、ひどい目にあった犠牲者だと思っていたのが、本当はそうじゃなかったのかもしれないことを知る。それぞれに傷つき、苦い思いを背負っていることを。
今は、バラバラになってしまった5人。たとえ、4人から拒絶された事実があったとしても、高校の時にすごした時間は、貴重なものだったのだと思う。
つくるは、つくるなんだし、以前からの夢だった駅を作るという仕事もちゃんとしているのだから、もっと自信を持てばいいのだ。作るという行為は、どんな小さなものでも、前向きに進んでいると作者は言っているように思う。
緑川が語った話や6本指の話等、現実から離れた話も挿入されているのは、作者の特徴のある文章だ。
つくるが沙羅とこれからの人生を歩んでいけたらいいなと思った。
お気に入り度★★★★