楽園のカンヴァス


原田マハ 新潮社 2012年1月


楽園のカンヴァス/原田 マハ
¥1,680
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ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大 作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書 を手渡した。好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間―。ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。


絵画に疎い私ですが、面白く読むことができた。作者が美術館に勤務していたこともあってか、美術館の舞台裏も知ることができ、興味深かった。

真作か贋作かを見極めるために呼ばれたティムと織江。。はて、どんな結果を出すのだろう?どちらが、勝者となるのだろう?とドキドキし たが、どちらが勝者となっても、きっといい方向に行くのではないかという気持ちになった。それは、二人ともルソーや絵画にたいする深い愛情を感じたから~。

真 贋を判定するためのヒントとなる古書に書かれている絵描きたちの物語は、ルソーがすごした時代をいっしょにすごしたような気持ちになる。絵画はこんなふう にして描かれたんだ。貧乏画家はこうしていたのか。絵画が認められるのは、ずっと後からということもあったのだろう。その時代の息遣いが感じられた。

コレクターよりも、もっと名画に向き合い続ける人がいる。それが、美術館の監視員というのは、何か、新鮮!




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