生きるぼくら

原田マハ 徳間書店 2012年9月


生きるぼくら/原田マハ
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いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。山本周五郎賞作家が描く感動の成長小説。


いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生は、いっしょに暮らす母親からも見捨てられ、年賀状をたよりに、蓼科に住む祖母中村真麻(マーサ)の家に向かう。そこには、マーサの孫だという対人恐怖症のつぼみがマーサと暮らしていた・・・・・・・

人生は、介護の仕事をするようになる。今まで何をするにも続かなかった人生だが、まじめに働く姿が認められる。蓼科に来て、人生は、やっと、ひきこもりから、抜け出せた感じだ。

マーサは、自然に近い田んぼ作りをしていた。不耕起 無肥料 無農薬 害虫も駆除しない 自然のままなのだ。それはとても手間がかかる作業なのだが、人生とつぼみは、その田んぼ作りに挑戦しようとする。マーサさんの自然や農作物に対する愛情を感じたからだろう。

わからない時には相談できる志乃さんがいる。そして、コメ作りを手伝ってくれる村の人たちがいる。こういう環境が、引きこもりも対人恐怖症もなくしていく。こんな助け合いのできる環境っていいなと思う。

就職が決まらずにいる純平。いまどきの青年なんだろう。しかし、彼も、真からのワルではない。自分の植えた稲の成長と、その写真を送り続けてくれた人生の熱意が彼を変えたのだろう。

そして、認知症についても考えさせられる。認知症になっても、自我があるのだということ。どのような生活がその人のためになるのか。

年賀状に書かれていたことの意味、そういうことだったのね。心があたたまるお話だった。

日本人には、お米。おにぎりが食べたい!


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