夜の国のクーパー

伊坂幸太郎 東京創元社 2012年5月


夜の国のクーパー/伊坂 幸太郎
¥1,680
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この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負 けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。これは猫と戦争と、そ して何より、世界の理のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。ジャンル分け不要不可、渾身 の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。

この国の住民たちは馬を知らないという。一体、いつの時代の話なのだろうか?猫のトムが人と話をするし、クーパーというわけのわからないものと闘うために兵士が選ばれるというのだから、ファンタジーなのか?そんな疑問を持ちながら読み進めていった。

トムと話しているのは、妻の浮気に悩む人間で、パソコンの前で株の売買・・・・・とあるから、現代なのだろう。この国は長いこと閉鎖されていたため新しいことが何も入ってきてないんだなと思った。


さて、さて、戦争に負けて、占領軍がやってきて、この国をまとめていた冠人が殺されてしまう。後を継いだ冠人の息子の酸人が、どうしようもないばかで、ど こまでもおろか、この国はこれからどうなることか・・・・・・・猫のトムが、見聞きしたことを私の話すという形式で話が進むのはおもしろかった。


途中、猫とネズミの話が出てくるが、人間社会の関係をわかりやすく解説しているようでもあった。


終盤近くになって、ようやく全体像が見えてくる。そういうことだったのかと思うことがしきり。最後になってようやくあのパクリだということがわかった。

クーパーを倒した時の体液を浴びた 人間が透明になるというのにも、納得!うまい表現だ。

よく考えて作られた物語だということを感じた。


お気に入り度★★★★