真夏の方程式

東野圭吾 文藝春秋 2011年6月


真夏の方程式/東野 圭吾
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夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で 見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてし まった真相とは―。

博士と少年、恭平とのかかわり方が好き。一緒にペットボトルロケットを飛ばしたり、食事をしたり、夏休みの宿題を教えてもらったり・・・・・・・・偏屈ものの少年に科学の面白さを教えていくところがいい。

成美は、なぜ、こんなに一生懸命に海を守ろうとしているのか、そこにカギが・・・・

大掛かりではないけれど科学的なトリックあり、草薙刑事、内海刑事も活躍し、ミステリーとしておもしろかった。

そして、環境保護と海底資源開発との関係も興味深い。

<両立させたいというのなら、双方について同等の知識と経験を有している必要がある。一方を重視するだけで十分だというのは傲慢な態度だ。相手の仕事や考え方をリスペクトしてこそ、両立の道も拓けてくる。>



犯罪については・・・・・・・・・

罪は罪として償うべきではないだろうか。隠そうとするからこそ、このような二次的な犯罪が起きてしまう。

犯人は、家族を守りたかったのだろうが、そのために、自分自身はともかく、何も知らない相手に手伝わせるとは、なんて罪なことをしたのだろう。

真相を明らかにすることだけが、重要なことではない。湯川の、事件に対する関わり方が、気づかいが感じられてよかった。

<忘れないでほしい。君はひとりぼっちじゃない>

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