夏草のフーガ

ほしおさなえ 幻冬舎 2011年7月

夏草のフーガ/ほしおさなえ
¥1,470
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母親とふたりで暮らす夏草は、祖母と同じ私立中学に通うことが憧れだった。願いはかない合格したものの、喜んでくれるはずの祖母は突然倒れ、目を覚ます と、自分を中学一年生だと言い張るようになる。一方、クラス内の事件をきっかけに学校を休みがちになった夏草は、中学生になりきった祖母と過ごす時間が増 え、ふと、祖母が以前、口にした「わたしは罪をおかした」という言葉を思い出す。いつもやさしかった祖母の罪とはなんだったのか…?互いのなかに見知らぬ 闇を見たあと、家族は再び信じ合えるのか?注目作家の書き下ろし感動長編ミステリー。


夏草の祖母が病気になるが、祖母は自分が中学1年生だと思い込んでいる。夏草と母親は、そんな祖母を中学1年生として接している気持ちが暖かい。

なぜ、中学1年生に戻ったのか、祖母のことを調べる夏草だが、次第に祖母の過去が明らかになっていく。祖母が思い残してきたことが何だったのかがしだいに わかってくる。家族の生きてきた道を娘や孫が知っていることは、少ないように思う。こんな出来事でもない限り、祖母の過去を調べようとは思わなかっただろ う。

ヒンメリを祖母、母、夏草の3代で作る姿がいいな。祖母が作ったというヒンメリの作品、見てみたい。

神がいるのか、いないのか?宗教的なことはよくわからないが、信じることができるか否かなのでないか。

3月11日に起きた地震のこと、夏草のいじめの問題、夏草の両親の別居・・・・・・・・・・
問題は山積みだが、祖母の出来事をきっかけにして、生きることとは?信じることとは?思いやりとは?家族とは?友達とは?いろんなことを考えさせられる物語だ。

お気に入り度★★★★