空也上人がいた

山田太一 朝日新聞出版 2011年4月

空也上人がいた (朝日新聞出版特別書き下ろし作品)/山田太一
¥1,260
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山田太一の19年ぶりの書き下ろし力作小説。特養ホームで老婆を死なせてしまった27歳のヘルパー草介は、女性ケアマネの重光さんの紹介で、81歳の老人 の在宅介護を引き受ける。介護する側の疲労、介護される側のいたわり。ヘルパーと老人とケアマネの風変わりな恋がはじまる。彼らはどこまで歩いていくの か。そして、心の痛みを抱える人々と一緒に歩いてくれる空也上人とは?重くて爽やかな衝撃作。

介護の現場を詳しく書いてあるわけではないけれど、その厳しさを感じる。

草介が特養ホームでヘルパーをしていた時に何があったのか?ケアマネの重光さんが、草介を心配し、気遣っている様子がうかがえる。

草介は、重松さんの紹介で、老人、吉崎の介護をすることになる。この老人、お金持なのか、高価なものを食べ、草介に、服も買い与える。これは、老人に、子供がいなかったために、息子を持った気分を味わいたかったのだと思っていたが・・・・・・・・・。

吉崎は、身寄りがないから、草介に遺産を譲りたいという。しかし、その条件が、・・・・・・・・・
人生を決められてしまうようなこんな条件、のめないだろう。老人は、草介を試したのかな?それとも、見抜いていたのか?

吉崎の考えていることが、私には理解できなかったが・・・・



空也上人は、くたびれた格好で、ただ一緒に歩いてくれる人。

つらいことがあっても、何も言わずとも、そうやって寄り添ってくれる存在があるということに私たちは、勇気づけられるであろう。

 京都東山の六波羅美蜜寺をちょっと覗いてみたくなった。

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