ツナグ

辻村深月 新潮社 2010年10月

ツナグ/辻村 深月
¥1,575
Amazon.co.jp

突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いか もしれない。でも―喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。―4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。

死んだ人に再会することができる。ツナグと呼ばれている人が会う機会を用意する面会の仲介をする。再会するにはルールがある。

会いたい人の名前と理由を死んだ人に伝える。死んだ人は、その希望を受けるかどうかを選ぶ権利がある。
面談は死んだ者と生きた者、どちらにとっても一度きりの機会になる。一人の死者に対して、会うことができる人間は一人だけ。

肉親や恋人や友だちに会いたいというのは、生きているうちに伝えたかった思いがあるのだろうと思うが、アイドルにというは、ちょっと意外だった。

死者と再会する話なので、ほのぼのとした話だと思って読んだ。ほとんどは、そうなのだが、「親友の心得」が、こわい。死者も会えるのは一度だけだというルールがあるために、会うことに決めたわけだが。
この先ずっと、背負って生きていかなければならないのかと思うと重い。

「使者の心得」は、仲介をしているツナグの人のことが書かれている。
両親を亡くしている彼。その死の真相が明らかに・・・・

死者との再会で誰もが幸せになるわけではない。
作者が描く死者との再会は一味違う内容だった。


お気に入り度★★★★