マリアビートル

伊坂 幸太郎 角川書店 2010年9月

マリアビートル/伊坂 幸太郎
¥1,680
Amazon.co.jp

グラスホッパー (角川文庫)/伊坂 幸太郎
¥620
Amazon.co.jp

元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの 二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。『グラ スホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。

これぞ、エンターテイメント。殺し屋の競演。
「グラスポッパー」の続編。「グラスポッパー」はここまでおもしろいとは思わなかったけれど、このマリアビートルは、伊坂らしい作品で大いに楽しめた。

木村は、息子の復讐のため、新幹線はやてに乗り込む。
七尾は、新幹線はやてに乗り、荷物を受け取り、次の駅で降りるというただそれだけの仕事のはずだった。
蜜柑と檸檬は、昨夜、峰岸良夫の一人息子が監禁されているのを助け出し、身代金のトランクも持ち帰り、新幹線はやてに乗り、峰岸良夫のもとに向かう。

新幹線はやてに乗り合わせた殺し屋たち。一見、何の関係もないように思えるが、新幹線の中で繰り広げられるスリリングな展開に息をのむ。

大人を手玉にとる狡猾な中学生、その考え方はおそろしい。
不運の連続の七尾。あまりのツキのなさに笑えた。だが、彼が意外に俊敏な行動をとるのにびっくり。
機関車トーマスをここまで愛する殺し屋がいるなんて・・・・・

 登場人物が個性的。殺しという物騒な状況なのに、会話が漫才のようでおもしろい。そして、一つひとつの出来事が、関連をみせ、最後のまとめ方も見事だ。

お気に入り度★★★★★