昼咲月見草

野中 柊 河出書房新社 2010年10月

昼咲月見草/野中 柊
¥1,575
Amazon.co.jp

女同士の友情と連帯、せつない恋、禍々しい関係、淡い想い、忘れられない痛み。植物にちなんだ珠玉の連作集。

銀杏 

大学時代の友達、沙織から連絡が入る。結婚すると。奈緒は、沙織と話していても、もう、しばらく会っていない辰雄のことが頭から離れない。沙織は、奈緒の様子に気付く・・・・・

昔からの友達って、相手の考えていることとか、わかったりするんだなあ。


椿 

他の男と寝たら刺すよ。さよ子は、昔一緒に暮らしていた男から言われたことがある。今は結婚し、娘志穂もいるが、志穂のピアノの先生に心惹かれている。彼は他にも何人かの○○ちゃんのママと付き合っているという噂が・・・・・

結婚していても、恋をしたら、いきいきしていられるのかな?
自分だけをみていてくれないと思いつめたら刺す・・・・こわいよ~。



羽衣草
 


祥子は付き合った人たちとずっと一緒にいたかった。けれど、男運が悪いのか、何人かと別れた。亜津子叔母が祥子に羽衣草の鉢をプレゼントしてくれた。その鉢に声をかける。

植物との対話、それだけでも、心を豊かにするもの。ひとりぼっちではないと思えるものなのだ。羽衣草に声をかけ、その成長を見守っている姿がいいな。
 

 


衿子叔母の葬式に参列する。子どもの頃、叔母さんの小屋に集まり遊んでいた。亮一さんと再会する・・・・

子どものころの思い出、ずっと秘めていた思い・・・・・けれど、相手は忘れていたりする。それって、悲しい。けど、吹っ切れた気持ちになるだろうか。


昼咲月見草


浩介は浮気をしてしまい、妻の咲子は家を出てしまう。5日くらい経ってから、メールのやり取りをするようになり、1ヶ月後、咲子の姉月夜と3人で会うことになるが・・・・・

咲子と月夜、姉妹というのは、やはり気持ちがわかるのだろうな。



いらだち、寂しさ、もどかしさ、不安・・・・・・・・・

現在の自分に満足できていない人の恋愛事情を植物をモチーフに描かれている。気にとめないとそこにあっても気づかない植物だが、何かをきっかけにそれの存在を強く感じたりする。そんな植物たち。
人の様々な思いを植物たちは、そっと見守ってくれているような気がする。

そして、悩んでいる人の周りには、友達がいたり、叔母さんがいたり、姉がいたり・・・・・。何も話さなくてもわかってくれているひとがいることがうらやましい。



お気に入り度★★★