ひそやかな花園

角田光代 毎日新聞社 2010年7月

ひそやかな花園/角田 光代
¥1,575
Amazon.co.jp

幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。
輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。
しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。
「あの集まりはいったい何だったのか?」
別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。
大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。



毎年、夏になるとサマーキャンプに参加していた、子供たち7人(一番大きいお姉さん役のジュリー、ここでは優等生として特別視されないことがうれしいダ ン。元気なユウくん。いつも一緒にいたケンちゃんとノンちゃん、男の子みたいに活発な女の子ハル。ここが一番好きだったサーちゃん。)とその両親たちは、 楽しい時間を過ごしていた。しかし、ある時を境にぷっつり、サマーキャンプはなくなってしまう。一体、どんな人たちの集まりで、 なぜ、急になくなってしまったのか。その理由 が知りたくたくて、読み進まずにはいられない。

そして、その謎が解けた後半、ここからが、本番。夫婦とは、親子とは、家族とはいったい何なのかという疑問を投げかけてくるのだ。

7人の子供たちが成長してから、もう一度会おうと探し出す。

なんとなく昔話しができたらいいなと思う者、ただ懐かしいから会いたいと思う者、はっきりとした理由があって会おうとしている者。それは、人によって、違 う。ここで、初めて両親から真実の話しを聞き動揺する人もいる。そんななかでの7人の再会。それがもたらしたものは・・・・・・

<その人たちを傷つけようと思ったんじゃない。わかり合えるって――あなたのその気分を、その人たちとなら共有できるって思ったんだよね?>

それぞれに岐路に来ていた7人は、自分の進むべき道を見出していく。その希望の見える終わり方がよかった。

お気に入り度★★★★★