パラドックス13

東野圭吾 毎日新聞社 2009年4月

パラドックス13/東野 圭吾
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13時13分からの13秒間、地球は“P‐13現象”に襲われるという。何が起こるか、論理数学的に予測不可能。その瞬間―目前に想像を絶する過酷な世界 が出現した。なぜ我々だけがここにいるのか。生き延びるにはどうしたらいいのか。いまこの世界の数学的矛盾を読み解かなければならない。

“P‐13現象”により、東京で生き残ったのは13人。地震や豪雨といった異常気象の中、火災や洪水がおき、東京は壊滅状態に陥る。文明の利器に頼りすぎている現代、何もかも使えない状態の中で、どのようにして生き延びるのか。

最初に“P‐13現象”の説明がされていたので、この12人の状況はなんとなく想像がついたのだが、このような状態になったとき、人はどうするのだろうと、サバイバルを生き抜くような感覚で読んだ。

今 後の生き方を考える意味で新しいルールが必要となってくる。時には、一般常識も善悪も通用しなくなる場合もあるのだ。聖哉のような沈着冷静で、リーダー的 な存在がいることは、混乱している中では重要だ。でも、正しいことがすべてではないということも感じた。人には感情があり、理屈だけではわりきれないこと もある。

聖哉の人類の未来を考えているという聖哉のイブ発言にはがっかり。そこまで先が考えられるというのは、希望を捨てていないということで、ある意味すごいことなのかもしれないが、これでは、女性陣の反発をかい、みんなの気持ちがひとつのならないだろう。そこまでは考えなかったのだろうか。そんな先のことより、今の一致団結が大切なのでは!

一人だったら、何もできないけれど、たとえ少しの人数でも、みんなで協力できるということは大切なこと。パニック状態になったときの人間ドラマとしては、読み応えがあった。

 記憶がなくなってしまうこのラストは、ちょっと悲しい。あんなにみんなが助け合ってきたのに・・・・・
そしてあの人たちはどうなったのだろう・・・・・・・



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