ふちなしのかがみ

辻村深月 角川書店 2009年6月

ふちなしのかがみ/辻村 深月
¥1,575
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ひややかな恐怖が胸に迫る―青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談!おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校 の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。やくそくをやぶったひとは、だぁれ?その向こう側は、決して覗いてはいけない―。

「踊り場の花子」
去年の夏休み、自由研究の宿題でさゆりは『若草南小学校の花子さん』の研究をした。うちの学校の花子さんは、昔、音楽室の窓から飛び降自殺をした女の子の霊で、7つの「不思議」がある・・・・・
相川秀樹が、一人、日直のために出勤した時、後輩の実習生小谷チサ子が忘れ物を取りに来る・・・・・

7不思議にすべて当てはまるとき・・・・ゾッ


「ブランコをこぐ足」
倉崎みのりはブランコで速度を上げ、次の瞬間彼女の身体が浮かび上がり、正面から落ちて、息を引き取る。みのりは、きちんとしたいい霊『キューピット様を呼ぶことができた・・・・・

「おとうさん、したいがあるよ」
認知症の祖母の家の片づけをしに行ったつつじは、犬小屋から近くの小学生の女の子の死体を見つける・・・・・

現実とも幻覚とも、その境がはっきりしない世界。

「ふちなしのかがみ」
自分の未来が見える鏡のこと知った香奈子は、そこに、大好きな冬也と自分にそっくりな子供の姿をみる・・・・・・・・・・・

これはひねりがあってなるほど、そういうことだったのかと・・・

「八月の天変地異」
近所の喘息もちのキョウスケと小さい頃から友だちだったシンジは、小学五年生になったとき、友達がいないと言われる。ショックだったシンジは、ゆうちゃんという架空の人物を作り上げ自慢する・・・・・・・・・

今までこわ~い怪談話だったが、これは、切なくて心温まるお話。最後にこれをもってきたことで、ほっとできた。

昔からある怪談話を辻村風にアレンジしてある。こういう話は、こわいけれど、覗いてみたいような、なつかしいような、そんな気持ちになる作品だ。
お気に入り度★★★