黒百合


多島斗志之 東京創元社 2008年10月


黒百合/多島 斗志之
¥1,575
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「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一 彦という名前だ」父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会 う。夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死―一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描 き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。


六甲の避暑地で過ごす14歳の寺元進、浅木一彦、倉沢香の三人のことを進の視点で書かれた部分。
小芝一造翁に付き添ってドイツに視察に行ったときの浅木と寺元たちが出会った相田真知子のことを浅木の視点で書かれた部分。
16歳の頃の倉沢日登美に恋文をもらって付き合うようになったことを運転手の視点で書かれた部分。

この3つからなる。

少年少女たちの夏の風景、薫にほのかな恋心を抱く進と一彦が、みずみずしく 描かれている。これが、主な内容であるが、彼らの親や親戚たちの昔のことが挿入されていて、相田真知子ってどんな人物なんだろうとか、日登美との恋はどう なるのだろうなどと思っているうち、六甲の部分で事件がおき、話がつながる。


青春小説と思いきや、最後に人物関係を知るとミステリー要素がちりばめられていたことを知る。


えー、そんなー、まさかー

お気に入り度★★★★