f植物園の巣穴

梨木香歩 朝日新聞出版 2009年5月


f植物園の巣穴/梨木 香歩
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私は、f植物園に転任になったが、新しい職場はわりと自由のきく勤務内容は気に入っていた。今日は歯医者に行くので出勤は遅れると伝えてあった。行った歯医者は、器具など何年も使ってないような活気のなさだったが、ここで治療を受けるが、前世は犬だったという歯科医の家内に会う・・・・



それからも、おかしな体験をするが、勾配の確認をするため、椋の木の大木のところで、うろを覗き込み、落ちたことを思い出す。それからの記憶がまるでない・・・・



夢のような話が、語られる中、大叔母やねえやの千代や妻のことなど、昔を思い出していくといった話だ。


最初はとっつきにくい内容で、話に入り込めなかったが、主人公の昔のことがわかってくるうち、おもしろくなってきた。



ガやチョウなど、完全変態するものの意識構造はどうなっているのか。自分のことと比べているところなどは、生と死ということについての考えが述べられていて、興味深かった。



幻想の世界は、わかりにくい部分もあるが、私が思い出していく記憶で、最初の記憶と実際の出来事は違っていたことが鮮明になっていくところはおもしろく、事実にはおどろかされた。

そして、そのラスト、いい。

お気に入り度★★★