朗読者

ベルンハルト シュリンク( Bernhard Schlink)   松永 美穂 (翻訳)
新潮社 2000年4月

朗読者 (新潮文庫)/ベルンハルト シュリンク
¥540
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学校の帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして、彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していた忌まわしい秘密とはいったい何だったのか・・・・・・・

以前から気になっていた作品ではあるが、なかなか読まずにいたが、今回、映画化されたので、公開前に読んでみた。

年の離れた関係は、現実離れをしているが、二人が親密になっていく様子が、事細かに描かれている。しかし、突然のハンナの失踪、法廷での再開と、話は急展開する。


法廷のハンナを見るミヒャエルの目は、時が立ち、冷静のように思える。そこで、彼女の秘密について知ることになる。それを話すべきか。話すことにより、ハンナの刑は軽くなるかもしれないが、ハンナの自尊心を傷つけることになる。ハンナは犯罪者であることを自白してまでも隠したかったことにそれほどの価値があったのか?

それにして、ハンナの運命はつらすぎるなあ。

ミヒャエルの動揺する気持ちが、細かに書かれているので、何に悩み、どの様に行動をしたかがよくわかった。反面、ミヒャエル側からの気持ちしか書かれてないので、ハンナの本当の気持ちは、推し量るしかない。ハンナのとった行動は衝撃的だった。

ナチスドイツの恐ろしい実態を背景に、愛のひとつの姿が描かれている。離れてしまった二人ではあるが、二人の心はつながっていたのではないか。

お気に入り度★★★★