森に眠る魚

角田光代 双葉社 2008年12月

森に眠る魚/角田 光代
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東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
繁田繭子は、マンションを買うことを夢見て、節約し貯金をしている。久野容子は、おとなしい息子一俊がいる。高原千花は、息子を母親に預けスポーツクラブに通っている。小林瞳は、以前ボランティア活動に参加していたことがある。江田かおりは、ブランドに身を包み、不倫を続けている。環境も性格も違う5人の専業主婦が、子供の幼稚園入園をきっかけに知り合う。

この人たちとなら、ユウくんママ、コウちゃんママといったよそよそしいつきあいでもなく、ママ友なんて一時的なつながりでもない、もっと長いつきあいができるのではないか。だれかの母とか、だれかの妻ではなく、自分自身として。

最初は、仲のよかった5人だが、その関係が壊れていく。少しのずれが大きくなり、一方的に追いかけたり、ある人だけを疎外したり。、誤解や思いこみから心の闇に迷い込んでしまう。それが、だんだんエスカレートしてしまう。その行動を読んでいくのは、気分が悪くなるが、それはあまりにもリアルで、こわくなってくる。

5人の関係がこじれて、その関係が最悪に達する。その状態へのもっていき方が、とてもうまいと思った。ここまで壊れてしまうものなのか。その孤独が身に迫ってきた。

最後のほうの主語のない描写は、誰もがそういう状況に陥ってもおかしくないと思わせるこわさがあった。

どんなつらいことがあっても、世界は終わらない。日常は続いていく。彼女たちは、自分自身で、日常へと戻っていかなくてはいけない・・・・・・・・・



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