ロコモーション

朝倉かすみ 光文社 2009年1月

ロコモーション/朝倉かすみ
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首藤アカリは、すくすく育つが、まわりからは地味と言う評価を受けていた。体は早熟で「いいからだ」は父も祖母も居心地の悪いおもいをしていた。高校卒業後、地元で事務員になるがうまくいかず、大きなまちで一人暮らしを始めヘアサロンの受付として働くようになり、エスティシャンのさくらちゃんという友だちができた。

お客の自称社長婦人である堀田千津子のことをティナと呼び、秘密のティナ研究所と称してさくらちゃんの部屋でいろいろ話すのが楽しかった。

南の島のパンフレットをもらった帰り雨宿りをしていると男の人から声をかけられる。「どこに行きたいんですか。」




他人からは地味でまじめでおとなしく几帳面。そんな印象を受けていたようだが、実際のアカリは・・・・・・・
アカリはもやもやした気持ちを抱えて日々をすごしていたように思う。それが、さくらちゃんという友だちができ、飛沢郁夫という恋人(?)ができたことで、心を平静に保っていられたのではないか。


それが、さくらちゃんや飛沢郁夫から、ひどい仕打ちを受けて、心が壊れてしまう。アカリはある行動に出る。とても許されるような行為ではないが、気持ちを爆発させたことで、穏やかになれたような気がする。アカリの人生は、これからまた新しく始まるであろう。

一般的に言う“ふしだらな女”。そういう行動をしてしまう彼女の、ざわざわした心の内面がよく描かれていたように思う。

ロコモーションとは、移動。人生は立ち止まっていられないということかな。

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