チェーン・ポイズン

本多孝好 講談社 2008年11月

チェーン・ポイズン/本多 孝好
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36歳になる孤独で未熟な私は、公園のベンチで、もう死にたいと呟いたとき、「1年待ちませんか。1年後ご褒美を差し上げます。」と見知らぬ人から声をかけられる。眠るように楽に死ねたらと思うと決して悪い取引ではなかった・・・・・・・
編集部の原田は、東京都内で続いて起きる毒物による自殺者を調べていた。高野章子がアルカロイド系の毒で自殺したことを知る・・・・・・


1年後の死をめざして、生きていくうち、次第に気持ちが変わっていく。生きようという気持ちになって本当によかったなあと思った。

自殺したいと思ったとき、1年、生きてみたら・・・・・?それでも、変わらない絶望はあるかもしれないが、少しの希望が、あらわれることもあるのだ。

死を描くことで、生を考える。作風は変わっても、以前の本多さんらしい趣旨の作品に出会えてうれしかった。

そして、見事にだまされた。思い込みとはおそろしい。そうだったのか!
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