恩寵


ほしおさなえ 角川グループパブリッシング 2008年12月


恩寵/ほしお さなえ
¥1,995
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会社をやめ、どこにも所属していない大島風里、28歳。公園の端まで来たとき、緑の中に家をみつけるが、運命を感じ、その家を借りる。近くの植物園で植物に触れたとき、大学までの趣味である刺繍を思い出し、白い布の上に葉っぱたちの世界を刺していった。そして、大学で植物の標本を作るアルバイトを始める。風里の住み始めた家には井戸があり、風里は、夢に見た少女を見かける・・・・・・・


風里が住み始めた家の不動産屋のノムさん、工務店のゲンさんらの助けによって、新しい家での生活になじんでいく様子や、大学で知り合った苫教授、研究棟のスタッフの小菊ちゃん石塚君、編集者の並木さん、イラストレーターの日下さんらと関わっていく様子が描かれている。

一方、中高一貫校に通う中学生の村上葉は、書家として有名なパパ、村上紀重が倒れたという知らせに、学校から病院へ向かう・・・・・・・・・
葉と、高校の鳥越先輩、友達の溝口友子や、家族との関わりが描かれている。



これらの話が交互に描かれ、昔の出来事が、現在へとつながっていく。話がつながったとき、ようやく、この世に残してきた後悔が、救われたように感じた。


風里が、自分の進むべき道をみつけたことに安堵し、希望のみえるラストがよかった。

風里が刺している刺繍。とてもすばらしいのだろうな。手にとって見てみたい。
お気に入り度★★★★