ヴァン・ショーをあなたに


近藤史恵 創元クライム・クラブ 2008年6月



<花>の本と映画の感想-ヴァン・ジョー



下 町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。二人の料理人はシェフの三舟さんと志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの僕。 気取らない料理で客の舌と心をつかむ変わり者のシェフは、客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。近所の田上家のスキレットはなぜすぐ錆びる のか?しっかりしたフランス風のパンを売りたいとはりきっていた女性パン職人は、なぜ突然いなくなったのか?ブイヤベース・ファンの新城さんの正体は?ス トラスブールのミリアムおばあちゃんが、夢のようにおいしいヴァン・ショーをつくらなくなってしまったわけは?…<紹介より>




迷子の子猫や、新しく開店するパン屋さんにまつわる日常の謎をシェフの三舟が解き明かす。いつもは寡黙なのに、謎解きのときだけは、名探偵振りを発揮。どれも、情のあるお話であたたかい気持ちになった。


タルト・タタンの夢 は、フレンチレストラン、ビストロ・パ・マルを舞台に起きる出来事についてであったが、それに加えて、三舟さんの恋や修行時代の話もでてきて、うれしくなった。


病気のとき、人に作ってもらう料理は格別なもの。日本人の味噌汁や卵粥にあたるものが、フランスでは、ヴァン・ショー(ホットワイン)だということを知った。何にせよ、作る人の気持ちがこもっている、胃にやさしくてあたたかい食べ物には、病気のときにはありがたいものだ。


ヴァン・ショー飲みたくなった。


このお話を読んでいると、ホットな気分になっていいなあ。

お気に入り度★★★★