最後の初恋
ニコラス・スパークス 著 雨沢 泰 訳
ソフトバンククリエイティブ 2008年9月
エイドリアンの娘アマンダは、大学でブレンドと出会い、卒業後に結婚。二人の子供に恵まれた。しかし、ブレンドは、精巣癌で亡くなってしまう。八ヶ月経った今でも立ち直れないアマンダに、エイドリアンは、話すときが来たと自分の過去を話し始める。娘に聞かせる形で物語は進む。
エイドリアンは、ジャックと幸せな結婚をしたが、ジャックが浮気をし3年前に離婚。子供たち3人を育てていた。離婚した翌年、いつも自分の味方になってくれた父は脳梗塞を起こし、介護ホームに入る。その費用が必要だったので、図書館でパートを始める。そんな時ジーンから、ロダンテにある<イン>の留守番を頼まれる。
<イン>に泊まりにきたのは、医者のポールだった。ポールは、手術したジル・トレストンが術後亡くなり、夫のロバート・トレストンは医療過誤訴訟を起こしていた。そのロバートに話があると言われたからだった。ポールは優秀な医者であり、家族のために働いていると思っていたが、家庭を顧みず、妻マーサ息子マークと折り合いが悪かった。マークは、国際救援機構でボランティア医療に従事するために国外へ旅立ち、マーサは離婚を申し出る。そんな状況の時手術したのが、ジル・トレストンだったのだ。
<イン>でエイドリアンとポールは5日間過ごす・・・・・・・・・
お互いが惹かれたのは、嵐の中に二人だけという状況が、影響したのはいうまでもない。しかしそれだけではない。お互いが、何かを求めていたときだったから、惹かれあったにちがいない。二人の波長があったのだと思う。
エイドリアンは、父親の介護、子供たちの世話、仕事と自分のすることすべてに目的があり、そうすることできちんとした生活をしていると信じてきた。しかし、働きづめで、みずから、楽しみを奪う生き方をしてきたことに気づく。
自分を素直に出せる相手だった。だからこそ、今までの自分の人生を見つめなおすことができたのではないか。たった5日間過ごしただけでも、それが本当の愛ならば、それを糧に生きていける。自分が愛される価値のある人間だと知ったおかげで、前向きになれる。そして、心に余裕ができた時、別れた夫との接し方も変ってくるものなのだ。
エイドリアンがポールに惹かれたのは、
<ポールが本気で古い自分を捨て、もっと優れた人になりたいと思っているからだ。>
<医者や弁護士が長年信じてきた生き方を変える決心をしただけでなく、たいていの人が躊躇するような仕方で行動に移している人に出会うのは初めてだった。>
エイドリアンは、自分の気持ちよりも、ポールと息子の関係を大切にしたことに、本当の愛の姿を感じる。
手紙は相手を思う気持ちがいっぱいちりばめられていて、愛しているという気持ちが伝わってきた。
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