闇の子供たち


梁 石日(ヤン・ソギル) 解放出版社 2002年 11月



チューンは、D村で、2年前、8歳のヤイルーンという女の子を買ったが、今度はその妹を買いにバンコクからやってきた・・・・・・・・


この物語は、フィクションではあるが、事実の部分もあるのではないだろうか。タイという国の現状、あまりにひどい現状を知ることになる。日本という国は、なんて豊かで平和な国だろうということを感じた。


お金のために子どもが売られていく。子ども達は、反抗しないようにしつけられ、幼児性愛者たちの性の相手をする。薬物を使われることもある。人間ではなく、道具として扱われているのだ。


エイズになった子どもは、ゴミのように捨てられる。まさしく言葉どおりのゴミ。黒いゴミ袋の中に入れられ、ゴミ処理場に捨てられるのだ。ようよう抜け出して故郷に帰ったヤイルーンのことが書かれていたが、故郷に帰ったヤイルーンに対しての家族や村人たちの接し方が、あまりに理不尽で、ヤイルーンがかわいそうすぎる。


そして、臓器売買。我が子のために多額の金を使ってタイで臓器移植をしようとする。生きている子の臓器が移植されるのだ。一人の命を救うために一人が犠牲となってしまう。なんておそろしいことだろう。


これらの子どもたちの売買に、社会福祉センターのスタッフたちが、阻止しようとしている戦っている。政府や警察は、知らん顔。マフィアは脅しをかけてくる。


日本のジャーナリストの南部が記事にしたものの、日本からしたら、対岸の火事でしかないのだ。


とても重い内容の本だった。あまりに悲惨で読むのがつらかった。希望は、ほとんどない。それでも、子どもたちのために、活動を続けようとしている人がいるということは、小さくても、明るい光だ。


お気に入り度★★★★