サラエボの花


監督: ヤスミラ・ジュバニッチ

出演 ミリャナ・カラノビッチ, ルナ・ミヨビッチ, レオン・ルチェフ, ケナン・チャティチ

2006年



サラエボにある街グルバヴィッツァで、シングルマザーのエスマと娘サラは暮らしていた。娘の修学旅行の費用を稼ぐために、毎夜ナイトクラブで働くエスマ。娘のサラは、父親はシャヒード(祖国のために戦死した英雄)だと聞かされ育っていたのだ。サラは旅行費用は、シャヒードは免除されると聞き、エスマに証明を迫る。エスマは、父親に関する真実をサラに話すしか方法がなかった・・・・・・・・・・


サラは勝気な女の子。エスマと家でじゃれあっている姿を見て、仲のいい母娘だと思った。


エスマは、友達らに助けを借りて、娘を育てている女性だ。何も、友達に娘のことを夜、お願いしてまで、夜働かなくてもと思ったけれど、働き口がないのだろう。



エスマの恋やサラと男友達の話も出てくる。ひとときの時間でも、幸せな気持ちですごせたエスマは幸せだったのではないか。サラは、心の内を話できる相手がいたことがよかったのではないかと思う。


エスマは、出生を隠しておきたい。サラは真実が知りたい。真実は予想がつく内容であったが、真実をエスマが告白する場面は衝撃的だ。それをサラがどう受け止めるのか。サラの心の傷をエスマがどう捉えるのか。サラの心の傷。エスマの苦悩。二人のそれぞれの想いが痛く哀しい。サラが、自分の髪をバリカンで切り落とすシーンは、サラの悲しみの深さを感じた。


エスマにとって、サラの存在はは、おぞましい過去を思い出すことになる。それでも、エスマは、サラがいることで、ここまで生きてこられたのだと思う。


とても、つらい現実。戦争の爪あとが、ここに残っている。戦争の場面はひとつもないが、戦争批判の映画だ。

お気に入り度★★★★