モーニング Mourning


小路幸也  実業之日本社 2008年3月




大学時代のバンド仲間の一人河東真吾の葬式に福岡に集まった淳平、ヒトシ、ワリョウ。帰り際、淳平は、自殺すると言い出す。思いとどませるために、東京へ車で向かうなか、昔のことを思い出し、自殺の原因を見つけようとするが・・・・・・・・・・・・・


モーニングとは、朝(morning)という意味だと思っていたので、朝何かが起こるんだと勘違いしていた。喪(mourning)のことだった。


大学時代、ひとつ屋の下で暮らし、一緒にバンドを組んでいた仲間。20年が経過し今では疎遠になっている。葬式に集まってもほとんど話をしないまま別れる。それってなんだかさみしい。と思って読んでいたら、ドライブが始まって、昔のことを思い出す。彼らの大学生活がどんなだったかと、興味を持って読んだ。


それぞれの生活があるから、大学時代のように集まることもない。せめて、集まったときだけでも、昔のことを思い出し、話をする。それが故人の一番の供養になるのかもしれない。


大学時代、5人の仲間に一人の女性茜が加わる。茜のエピソードは痛々しかった。5人は、彼女のために行動を起こす。大学時代に彼らのした行動は、間違っていたこともあるだろうが、友情が、熱き思いがそうさせたのだと思う。


全てが明らかになって、驚きと共に、切なさと暖かさを感じさせる話だった。


大学時代ってよかったなあと思う。今では、思い出すこともほとんどないが、昔の仲間と思い出話に花を咲かせることは、今では忘れてしまった大切なことを思い出すことにもなり、これから生きていく中で、自分のスパイスになるように思った。



作者の生年月日を見て、発見!主人公たちと同じ年。つまり時代背景は自分の生きていたそのままなのだろう。


お気に入り度★★★