やってられない月曜日


柴田よしき 新潮社 2007年8月






大手出版社にコネで入社し、今は経理部で働く高遠寧々(たかとうねね)、28歳。恋人はいないけど、Nゲージ用の1/150スケールの住宅模型を作ることを趣味にし、同僚の百舌鳥弥々(もずやや)とはいいコンビ。そんな高遠寧々の日常を描く。



会社では、経費の不正請求に怒り、不倫の現場を目撃し、パワハラ(権力をかさに着た嫌がらせ)や社内いじめの事実を知り、弥々の家庭や恋愛の事情を知りとたいへんな毎日を過ごしている。

「命かけます、週末です。」では、そのままの意味の命をかけていることには驚きだった。



寧々は、会社の中での自分の立場を考慮し、趣味の模型作りをすることで気持ちを平静に保つ。つまずいたり悩んだりしながら、自分なりの答えを出し、折り合いをつけて生きていく。そんな寧々に好感が持てた。



小林の言葉にこういうのがった。

<もし何か。ほんの些細なことが違っていたら、決して出遭うことはなかったかも知れない者同士が、偶然っていう、なんか不思議なもののせいで出遭って、互いの人生を互いに変え合っていく。そう考えると、縁(えにし)って、なんて神秘的なんだろう>

小林は、そんないい人物には思えなかったけど、この言葉は好きだなあ。偶然出遭った“縁(えにし)”は、私も大切にしたいと思う。


寧々が作った住宅模型、見てみたいな。

お気に入り度★★★