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小説 角田光代 絵 松尾たいこ
双葉社 2005年11月
- Presents/角田 光代
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- Presents (双葉文庫)/角田 光代
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春に生まれたから春子。シンプルな理由からつけられた地味な名前が嫌いだった。私は、名前のように地味でシンプルで退屈な大人になった。結婚して出産を前にして、母から、腹帯と一緒に送られてきた古めかしい名前辞典には、鉛筆で書いたたくさんの筆跡があるのを見て、悩んでつけた名前であることを知る・・・・・・・・・・・・
赤ちゃんから老人になるまでにもらうプレゼントを描いた短編集。
人は一生の間に、どれだけの贈り物をもらうのだろう。
プレゼントというと、物を想像するが、形のないものをもらっているということがあるのだということ。
形のないものは、心のなかに、ずっととあるということ。
物は壊れてしまっても、送り主の気持ちは残るということ。
目に見えている物と一緒に感情もプレゼントされているということ。
知らないうちに、プレゼントされていることもあるのだということ。
いろんなプレゼントのことを思った。
プレゼントには、様々な思いがあり、どんなものでも、送り主の気持ちがこもっているのだなあ。
名前 ランドセル 初キス 鍋セット うに煎餅 合い鍵 ヴェール 記憶 絵 料理 ぬいぐるみ 涙
どの話もすばらしく、じっくり味わって、読んでみたいお話だった。
生まれてから死ぬまでの間にいろいろなことがあるだろうが、失敗や後悔があったとしても、すごしてきた時間が無駄だということはないし、昔のように戻れなくても、別のかたちのなにかになることができる。
「涙」の老女のようにみんなに囲まれて、静かに深い眠りにつく。そんな最後を迎えられたら幸せだろうな。
挿入されている絵もいいし、プレゼントを包む包装紙のような装丁も素敵!
お気に入り度★★★★★