ぐるぐる猿と歌う鳥


加納朋子  講談社 ミステリーランド 2007年7月


高見森(シン)は、転勤で九州へ引っ越してきた。やんちゃもののシンであったが、隣のココちゃんと仲良しになり・・・・・・


第一話「ぐるぐる猿と歌う鳥」シンは、体育館の屋根から、社宅の屋根に描かれたナスカの地上絵を見る。確かめようと、屋根を見渡せる仲間と松並木の所へ行くが、何も見えなかった・・・・・


第二話「図書室の暗号」引き出しの中から、<猿より鳥へ 図書室の「わ」のたなの下>と言う紙が入っていた。図書室へ行ってみると・・・・


第三話「社宅のユーレイ」深夜、歓迎会で酔っ払って家に帰ると、玄関が開きっぱなしで、赤い液体が、広がり、包丁が落ちていた。そして・・・・・・


冒頭の5歳の時のアヤと遊んだこと、知らない男につれて行かれそうになった事件、これが、何か関係してくるんだと、頭の片隅において読んでいた所、十時あやが登場。これは・・・・・と思ったのに、見事だまされてしまった。


第一話、第二話、第三話とそれぞれに、謎につけくわえて、プロローグ、モノローグでの話がどう関わってくるのか、そして、パックとはどんな存在なのかと、読者の心をつかんで離しません。


こんな謎解きもさることながら、この物語で、なんとってもいいのが、小学生たち。

乱暴で騒々しいシン。実際こんな子どもを持ったら、親として大変だろうとは思うけれど、シンは、腕白だけど、元気で子どもらしい少年なのだ。そして、標準語と方言を使い分けるひ弱だけどやさしいココちゃん。美人で気が強い十時あや、それぞれに特徴のある竹本5人兄弟、そして、謎の少年パック。彼らの日常が生き生きと描かれている。それに、九州弁で話すのが、またかわいい。


そんな元気で無邪気な子どもたちも心の闇を抱えている。それをパックという少年を通して、子どもたちで解決しようとする姿がいい。パックのことは夢のような存在にとどまらず、世話になったら、何かの恩返しをするというパックの姿勢がいいし、病気や怪我をした時のことを現実の問題としても考えているところもいいと思う。


「ちゃちゃちゃ探偵団」これからも活躍してくれるといいな。


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