吉原手引草


松井今朝子 幻冬舎 2007年3月



吉原で起こった事件のことについて、ある人物が話を聞いていくと・・・・・・・・・


吉原で遊ぶには、手順があり、作法があることを知った。吉原という世界をさまざまな階級、仕事の人たちが自分のこととあわせて話をする中で、この時代の様子がわかってくる。


最初はどんな事件が起きたのかもわからず、話は進んでいくが、まずは、吉原というものがどんなところであるかを理解し、徐々に、花魁葛城の人物像が浮かび上がり、そして事件へと話を進めていく。それも、人の話だけで、真実に迫っていくその手法は見事だと思う。


吉原で、抜きん出る売れっ子になるには、恋の駆け引きも必要で、容姿がいいだけではなく、知恵もないとやっていけない。この職業も大変なことなんだなと思う。


ラストで明かされる真相は衝撃。こんな思いを秘め、吉原にいたのかと思うと切なかった。

お気に入り度★★★