街の灯 ( 再読 )
北村薫 文藝春秋 2003年1月
士族出身の上流家庭・花村家に新しく女性の運転手が来る。女子学習院に通う私(英子)は、その運転手、別宮みつ子のことをサッカレーの「虚栄の市」の登場人物の名にちなんでベッキーさんと呼ぶ。
昭和初期の時代、上流階級を舞台に、私とベッキーさんが、事件を解決していくもので、今度この続きとして出版された「玻璃の天 」を読む前に、再読してみた。「街の灯」を読んだとき、ベッキーさんの素性が知りたくてうずうずいていたので、「玻璃の天 」は、待ちに待った新作だ。ちょうど、三田完の俳風三麗花 を読んだところで、同じ時代なので、背景を捉えるのにちょうどいい。
運転手つきで女学校に通い、「ごきげんよう」とあいさつをかわす花村英子。全然違った世界に入り込んだ感じだ。この主人公である英子は、お嬢様にもかかわらず、その地位を見せびらかすわけでもなく、素直な心の持ち主で、好奇心旺盛な少女。ベッキーさんは、使用人であるために、控えめではあるが、武道に長け、頭脳明晰で、英子の質問に的確な答えをくれる。この二人は魅力的な人物。
「虚栄の市」では、最近起こった変死事件を解いていく。
「銀座八町」では、桐原侯爵家の令嬢麗子から、手紙をもらい、桐原家にベッキーさんの車で行くが、麗子の兄が、「上着を脱いでみろ」の意味にこんなわけがあったとは・・・・
兄雅吉あてに届く品で、兄の友人の暗号を解いていくのも、ちょっとしたおもしろさがある。
「街の灯」では、映画鑑賞会で事件が・・・・・
道子の結婚観に、こういう考えもあるのかなあと。
お気に入り度★★★