大きな熊が来る前に、おやすみ


島本理生 新潮社 2007年3月


珠美は、徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。しかし、手放しで幸せという気分ではなかった「大きな熊が来る前におやすみ」


この題名の意味、深い意味があったんだね。ちょっと、驚きを加えてあって、いいできの作品だと思う。お互い、過去を打ち明けたことで前進できるのか、言葉を信じるしかないという珠美の言葉が、重く残った。



後期試験の打ち上げに苦手な都築新もやってきた。それから、ご飯を食べに来るようになる。しかし、都築は、育ちの違いからか、胸に付き刺さるようなことを平気でいう。「クロコダイルの午睡」

育ちがいい人っているけど、それだけで、何か気に触るってことがある。それは、仕方がないだけでは済まされないことはある。自覚しないといけない部分がある。それにしても、ちょっとしたいたづらごころからだったのか、霧島のしたことって、大胆!

この話で救われたのは、霧島が、今までに着ないような洋服を着たり、髪の毛をカールしたりしておしゃれしているのはかわいい。それに対して「似合ってるよ」といってくれたところ。ここまではよかったのに・・・・・



中学のバスケ部の顧問だった先生のお通夜の後、酔った荻原を自分の部屋へ連れてくる。ずっと志摩先輩のことが好きだったと言う荻原・・・・・・・「猫と君のとなり」

荻原の志摩先輩へのトレートの気持ちがいい。こういう恋愛にはホッとできる。



一緒に生活をはじめようとする二人。しかし、そこに隠れているのが、暴力であったり、暴言であったり・・・・・・・そんな深い悲しみを抱えている人たちがいる。そんな人ほど、余計にこれからは、幸せになって欲しいな。

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