冥王星パーティ


平山 瑞穂  新潮社 2007年3月

あからさまな卑猥画像を公開するサイト"syoko tsuzuki"は、桜川衛の知っているあの都築祥子なのか?

10年前、薬局を経営する父と二人暮らしの高校生の都築祥子は、友達榛菜の紹介で桜川衛に本を借りにいったことから、時々、衛の家に行っていた・・・・・・


出だしから、11年間の間に何が起こったのかと。話に引き込まれた。


高校の時の衛は、理想に燃えていて音楽や本に詳しくて。それが偏った見方であっても、言い切れるところがいい。見た目はダサくて、一緒に歩きたくない相手ではあっても、衛とすごす祥子を描いた部分が、私は好きだ。


都築翔子は、どうして、おかしな男とつきあってしまうのだろう。頭もいいし、容姿も悪くないのだろうに。


桜川衛の変身ぶりは見事だ。自意識過剰で神経質な部分がなくなり、タフになった。今は、恋人もいて、他にも付き合っている女が何人もいる。けど、中身はどうなんだろう。


衛と祥子が、それぞれに歩んだ人生は、決していい人生だとはいえない。そんな二人の11年後の出会いの場面、とてもいい。自分自身を見失っていた二人が、自分自身を取り戻す・・・・・


人生あの時からやり直せたら・・・・・なんて思うことあるけど、それは無理。でも今からあたらし人生をはじめることはできるんだな。何かとても胸に迫ってきた。


祥子に敵対心を抱きながらすりよってくる榛菜、女性にだらしない父親、大学の先輩の望月、一緒に仕事をしていた香原等脇役陣の描き方もうまい。

お気に入り度★★★★