檸檬のころ


豊島ミホ 幻冬舎 2005年3月


サトは入学してすぐにできた友達で、一緒に通学していた。しかし、いつからか、サトはずっと保健室で過ごすようになり授業にでなくなった。私は、藤山君から一緒に通学しようと誘われるが、最近乗ってこなかったサトが、隣に来て・・・・・・

田舎の北高校を舞台にした短編集。

普通の人たちを描くのがとてもうまい人だ。自分が過ごしてきたような日常がそこにあるから、共感できるのだ。

保健室にいる小嶋や他の生徒たちにしても授業に参加しないのは、はっきりとした理由があるわけではなくて、自分でもわからないのかもしれない。

白田と辻本は、話がとてもよくあった。そこから、白田は、恋愛感情を抱くのだが、辻本には・・・・・・

白田にとっって、辻本に恋人がいることはショックだったろうが、恋人がいる相手であっても話をするだけでもうれしくなる。そういう異性っているよね。

佐々木と秋元は、違う大学へ進むことになる。付き合いがしたいがために、進むべき大学をかえたりせず、自分の道を進む。お互い好きでも、無理に遠距離恋愛しようとせず、自然に任せている。そこに好感がもてた。佐々木と秋元は、将来どうなるかわからないけれど、高校のときのよい思い出として残るのだろう。

金子商店のような店。こういうお店って、その土地に密着していて、なにかいいんだよね。

ここで過ごした日々、一つ一つが、いい思い出になるようなそんなお話だった。

お気に入り度★★★★