シャドウ


道尾秀介  東京創元社  2006年9月



小学5年生の凰介と亜紀は幼なじみ。父親同士と母親同士も同級生だった。凰介の母咲枝は、病気で亡くなる。数日後、亜紀の母恵が、飛び降り自殺してしまう。そして、亜紀も交通事故に遭う・・・・・・・・


いったい誰が正常で、誰が精神を病んでいるのか、途中でわからなくなってきた。


伏線や罠が、いっぱい張ってあって、それがうまくかみ合っている。視覚、聴覚、臭覚とあらゆる感覚を使って解決の方向に導く様は見事だ。ミステリーとしては、逸品だと思う。


しかし、凰介と亜紀はかわいそうすぎて、読むのがつらい。大人の犠牲になるのは子ども。そして、小学5年生のこどもに、すべてをわからせるのは、酷ではないか。子どもであっても、ひとりの男として、守られる存在から、守る存在に凰介はなったというのは、けなげなのだが、まだ小学生の身で荷が重過ぎるように思った。


(余談)いまどきの小学生は、日記の宿題をパソコンでするのか?進んでいるんだな。

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