モドキ
ほしおさなえ 角川書店 2006年4月
AIWのサイトでは、指くらいの小さな女性の画像が載せられている。大学生物学の研究室では、植物のDNAの研究がなされている。スーパーマーケットでは、カメさん、カホちゃん、マツナガが働いている・・・・・・・・
話があちこちとぶので、いったい誰の話なのか、いつの話なのか、戸惑いながら読み進めていったが、話がからみあい、つながっていくうちに、不思議な世界に入り込み、いつの間にかこの世界にどっぶり浸っていた。気持ちわるいような、ここちよいよう、何かに酔ったような奇妙な感覚だ。
小さい人しか愛せない人、夫に自分のことをわかってほしい人、昔アイドルであって特別な存在であったことが忘れない人、いわば、愛に飢えている人たち・・・・・特別を求めて、特別なものになるために、特別な欲望を持つ。そうしないと、世界から自分が消えてしまうと思いこんでいる。そうとしか、思えないなんて、哀しい事だなあ。
モドキという存在って不気味。ねこや犬は、売買していても、罪悪感を感じない。ならば、知能のないモドキを販売することは?
やはり、抵抗を感じる。
今の世の中、モドキだらけなのでは?なんて気持ちになって、怖くなってきた。実際ありえないけれど・・・・
最後まで読んで、話がつながった時、そうだったのかと、納得。
お気に入り度★★★★