この庭に 黒いミンクの話


梨木香歩作 須藤由希子絵  理論舎  2006年12月



雪国の街でひとり酒におぼれ、幻想の世界に浸る。ある日、日本人形のような白い顔の少女が、やってきて「この庭に、ミンクがいるような気がしてしようがないの。」と言う・・・・・・・・・・


モノクロで描かれた絵は、雪が降り積もった寒い世界を連想させる。そこに、赤を一色加えたページがあって、ドキッとさせられた。赤のの使い方がうまいなあと思う。


雪国にひとりという設定からだろう。寂寥感が漂う。幻想と現実の間を行き来する不思議な話なのだが、最後まで読んでわけがわかった。こういうことだったとは!


「からくりからくさ」に登場した4人の女性たち(蓉子、紀久、与希子、マーガレット)が、今でも、一緒に生活していることに、安堵した。「ミケルの庭」では、ミケルは赤ん坊で、熱を出したんだったかな(記憶があやふや)。そんなミケルも、成長していることに、なんだかうれしくなった。


お気に入り度★★★