四度目の氷河期


荻原浩 新潮社 2006年9月



ワタルは、母親と暮らしていたが、よそものだし、生まれる前から父がいないため、悪くうわさされていた。ワタルは、母親の書物から、ぼくの父親は1万年前のクロマニヨン人だと思い込み、石器作りに専念し、釣りをするなど、原始人の生活を試す。そんな時、サキという少女に出会う・・・・・・・・・・・


クロマニヨン人や氷河期がでてきて、いったいどんな話なのかと思ったけれど、一人の少年の成長を描いた小説として、いい話だった。


自分の父をクロマニヨン人だと思うとは、考えもつかない発想だが、人と違う容姿や人と違う考え方に悩んだあげく、こう思うことで、人と違ってもいいのだと自分自身を納得させようとしていたのだと思う。そこに、ワタル少年の心の葛藤を見た思いがした。


4歳から18歳までの成長過程で、最初はひとりぼっちであったワタルが、サキやトラ、先生など、いろんな人とかかわりあって、ワタルにも、理解者ができていったことは、ほんとうによかったと思う。


ワタルとサキ。背中に重い荷物を背負わされた二人だから、お互いを理解しあえたのだろう。これからも、支えあっていければいいのに~。

お気に入り度★★★★