優しい子よ


大崎善生 講談社 2006年6月


9歳の息子のために色紙を書いてほしいというメールが、届く。棋士の高橋和は、本人からその気持ちを直接手紙に書いてほしいと返事をすると、杉田茂樹から手紙が届く・・・・・・


不治の病に侵されている茂樹とあこがれの棋士との交流を描いた「優しい子よ」荻元晴彦の死に直面し昔を振り返る「テレビの虚空」「故郷」わが子の誕生を描いた「誕生」の4編からなる生と死をテーマに事実に基づいた小説。


表題作のインパクトが強い。こんな小さな少年が、ここまで優しくなれるものか。自分の病気のことよりも、ただひたすら大好きな大ファンである高橋棋士の足が痛まないことを祈っている。その純粋な気持ちに泣けた。これが、作り話ではなく、実際にこんな子がいることに感動する。そして、少年を想い、、自分にできることは何かと、一生賢明な高橋棋士の姿も美しいと思う。


<病気や怪我によって失うものもあるけれど、,しかしそれによって確実に得るものもある。>

そういえるのは強い人だと思う。困難を乗り越え、それをプラスにしていけるとは。


あとがきには、小説のこと、父への想い等が述べられていた。

私には小説か、ノンフィクションか、どちらにした方がいいのかよくわからなかったけれど・・・・・

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