ゴールデンタイム 続嫌われ松子の一生


山田宗樹 幻冬舎 2006年5月

川尻松子が、亡くなってから4年後。甥の川尻笙は、大学を卒業しても就職が決まらずバイトの生活をしていたが、ユリやミックと知り合ったことから、演劇の道に進むようになる。笙の恋人だった明日香は、医者を目指して大学に進み、今は恋人輝樹もいた。・・・・・・・・・・・・


「続嫌われ松子の一生」となっているが、前作の重い内容とはとはうってかわって、爽快な青春小説だ。


明日香は順調に自分の夢である医者の道に進みつつある。友達もいるし、新しい恋人もできた。しかし、また、新しい問題にぶつかっていく。目の前に楽な幸せがあるのに、妥協せず、困難ではあっても自分の進みたい道に選んだ明日香にエールお送りたい。


一方、笙は、やりたいこともわからずに今まで過ごしてきた。それが、ひょんなことから、演劇を始めることになリ、その魅力にとりつかれる。笙にやりたいことが見つかってよかったねと素直に言ってあげたい気持ちになった。


また、ユリやミックや演劇の人たちが、魅力的に描かれていて笙が演劇にのめりこんだ理由がわかる気がする。ミックの生き方に対してはいろんな意見があるだろうけど、それはそれで、力強さを感じた。


ミックの生きかたを変えさせようと笙が沢村社長に相談したときの沢村社長の言葉が印象に残ったので引用する。

<世の中の人ぜんぶ、自分と同じわけじゃない。よく考えたら、そんなの当たり前だよね。価値観、習慣、その他、みんな違うってことを、まず、認める。認めた上で、その違いを尊重し受け入れる。・・・・・そう、共感じゃなくて、尊重するんだよ。>


笙と明日香が再会したところがよかったなあ。二人もお互いが相手を尊重する気持ちになったんじゃないかなと思う。

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