ナ・バ・テア


森博嗣  中央公論新者 2004年6月


メカニックの笹倉と転属となり、この基地にやってきた草薙水素。僕(草薙)は、前のチームでも彼の腕前がうわさになっていたティーチャと一緒にフライトする・・・・・・「スカイ・クロラ」に続く戦闘用の飛行気乗りとしての“キルドレ”の姿を描く。


これは、内面を描いた作品。草薙の純粋な気持ちが、胸を打つ。飛行機に乗ることが好きで、飛行機の中で一番自由に飛べるから戦闘機に乗る僕。敵を爆撃するのは、それが任務だから・・・・・・草薙の行き場はどこにあるのだろう。


今までに、抱いたことのない感情、ティーチャに対する好意的な感情。僕は、この気持ちをどう処理するのか。“キルドレ”は、子供なのに大人の感情をもつことができるのか?。“キルドレ”の設定が曖昧だが、この不思議な世界にす~っとはいりこんでいける。


草薙の考えに時々ドキッとさせられるような文章が含まれている。人間関係や社会の成り立ちの意味をも考えさせられる。


空を飛んでいるシーンは、自分も飛んでいる気持ちになった。表紙のような情景が、飛行機からみえるのだろうか。とてもきれいだ。


次作「ダウン・ツ・ヘブン」も読む予定。

お気に入り度★★★★