どうも、はむばねです。
最近、本屋で迷子になる件について。
いや迷子っつーか流石に迷子にはならないんですが、目的の棚までなかなか辿りつけないんですよね。
入り口のすぐ左にある大判ライトノベルの棚に辿り着くのに、結局店内1周してもうたわ。
以前は、初めて行く本屋さんでも大体本棚の配置とかすぐ把握できたんですけどね……。
これは私の感覚が鈍ってるのか、昔と配置の法則性が変わったのか。

そんなこんなで、今回はネタバレあんまり無しですかね。
もはや、前置きとの関係を合わせる気は一切ない。


異世界修学旅行 (ガガガ文庫)
小学館 (2015-10-30)
売り上げランキング: 3,371


京都への修学旅行の最中、雷に打たれて異世界に飛ばされた主人公一行(クラス全員?)。
しかし、魔王はつい先週倒されたばかり。
特に何か役割があるわけでもなく、元の世界に帰る方法もきっちりわかっているため、城でダラダラとセレブ生活を続ける日々。
そんな折、主人公たちと同じタイミングで異世界に飛ばされたにも関わらず、違う時間、違う場所に飛ばされたクラスメイトの存在を知った主人公たちは、まだ見ぬクラスメイトを探す旅に出るのであった。
チート無し、特殊能力無し、ハーレム無し、内政無し、戦闘無し、なんだっった主人公の活躍無しの異世界修学旅行!

……という感じのストーリーなんですが。
端的に言って、めっちゃ面白かった。
そして、端的に言ってめっちゃ感想書きづらい。

正直な話、ストーリーだけ見たらそれほど惹かれるお話ではありません。
異世界行ったけど何の役割もありません、なんて10年前ならともかく今となっては何ら珍しいものではありませんからね(ちなみに、めっちゃなろうっぽいあらすじですがなろう作品ではないです)。
実際私も、「は、また変わり種異世界モノ(笑)っすかw」ってな感じで読み始めたものです。

が、しかし。
本作の魅力はとにかくエッジの効きまくった会話文に集約されていました。
もうね、終始笑いっぱなしですよ。
かなりメタネタも混じってるんですが、そのメタネタを更にメタ処理することで上手く消化してる。
ちょいちょい日本から転移してくる人がいるせいで、異世界人にも関わらずやたらクールジャパンに詳しい姫様がツボ。
どうやったら伝聞のみでここまでバラエティに詳しくなるんだよw
そして、異世界行ったにも関わらず結局(姫様以外の)困ったちゃんたちが元の世界のクラスメイトというのもw
自ら全裸になることで勝手に難易度スーパーハードにして大冒険を繰り広げた木村くんとか、クッソワロタw
現代日本ギャグとファンタジーギャグが、ものっそいいい感じに融合してる。

そして何より驚くべき事に、これだけ笑えるにも関わらず頭のおかしさが感じられなかったのである。
私が言う「頭おかしい」というのは大体「天才」と似たようなニュアンスで、「この発想は凡人には無理だな」と思うような(狂気すら感じる面白さに触れた)時に使う言葉なのですけれど。
本作におけるギャグはなんというか、いくつかくらいなら自分にも思いつくかな? という感じのものなんですよね。
そう言うとなんかディスってる感じに聞こえちゃうかもしれませんが、(ある種の)奇抜さがないというのは汎用性が高いってことだと思うんですよね。
例えば竹井10日先生とか王雀孫先生とかの作品を私は大好きでクッソ笑っているけども、ある程度以上自分と同じ感性を持ってる人に対してじゃないとオススメはできないかなとも思うわけです。
しかし本作は、もっと万人受けする面白さなんじゃねーかなと思います。
なんつかーか、深夜にコアなファン向けにやってる番組と、ゴールデンで大衆向けにやってる番組の違い、みたいな?
……うん、この例えはあんまり正しくない気もするな。
とにもかくにも、さしたる奇抜な発想も無しにただただレベルの高いギャグをここまで詰め込むというのは、端的に言って頭がおかしい(結局言った)。

惜しむらくは、初見での引きがあまりにも弱いという点ですかね。
正直ストーリーラインだけ見ると、最近の作品にそれなりに触れた読者からすると「またか……」という印象は拭えないと思います。
実際私もそう思ったし、「でもまぁ最近出たやつだし優先して読んどくか……」くらいの気持ちで読み始めました。
そして、ぶっちゃけて言うと読み終わった今でもストーリーに関する印象としてはさほど変わりません。
しかしそれでも、これを読まないのは勿体無い。
読めばわかる面白さであり、未読の方にこの面白さを伝えられないのは大変もどかしい(そして作家としてどうかと思う)思いなのですが、とにかく読んでみてくださいとしか言えません。
こちらで試し読みもできるけど、うーん……この後からがホントに面白いところなんだよなぁ……。