今日から嫁さんはプチ里帰り。私は明日が仕事なので東京残りです。
こんな時こそ、趣味の世界にどっぷり浸かろうと、六尺棒を持って近所の武道場に行ってきました。

公園稽古もいいのですが、武道場だと棒の風切り音がしっかり聞こえるので、ちゃんと振れているかが分かり、稽古のしやすさが違います。

しかし・・・最初は柔道場で棒を振り始めたのですが、30分もすると徐々に団体稽古者が増え手狭に。グローブ空手やブラジリアン柔術のスパーが繰り広げられる横で棒を振っているのは、いかにも不自然です。
やっぱりこういうの振り回すなら剣道場ですよね、と潔く悟り、途中からは二階の剣道場に移動しました。

剣道場には空手衣を着て隅っこで型をしている爺さん一人。これなら振り回しても安全です。

稽古内容は飽きないように、棒術と空手を交互に。
周氏の棍をやってからナイハンチ、次に趙雲の棍小を繰り返してからピンアン初段。棒の踏み込み足下段打ちや袈裟打ちをしてまたナイハンチ・・・

30分ほど続けていると、ふいに「それはナイファンチだね」との声が。隅っこで型をしていた爺さんが話し掛けてきました。「はい」と答えるとすかさず、「ナイファンチなら、足が外に開いちゃいかんな。ナイファンチ立ちは足を内側に絞る。その一点は守るべきだよ」

近づいてきた爺さんを見ると、黒帯はボロボロ、そして拳頭はボコリと膨らんでいます。
遠くから見た時も「切れのある動きしてるなあ」と思っていたのですが、近づいてみると明らかに相当な稽古歴がありそうな姿です。

「ありがとうございます。棒の型が四股立ちなので、釣られてナイハンチも足が開いてしまったみたいです」「そうか。それは面白いな。棒の方も見ていたが、そっちは足を開くのが正式みたいだね。ところで君はどんな空手をしているんだね」

それがキッカケになり、しばし空手談義が始まりました。
爺さん、もとい、老先生は若い時に防具空手の練武館で稽古をしていたそうで黒帯もその時のもの。定年退職後にひとり稽古を再開したとのことです。
「面白いもので、何十年やらなくても、体が覚えてるんだね。お陰で腰痛もすっかり治った」
何十年もブランクがあってあの動き、凄いなあと頭が下がりました。

「君は少し体が硬そうだから、これを教えてあげよう」
そう言って教えてくれたのが踝のツボ。グリグリやってもらうと、確かに前屈の深さがぐっと増しました。
「練武館はこういうことも教えていたんですね!」と言うと「いや、これは月刊空手道の受け売り(笑)」

茶目っ気もある老先生です。

結局20分くらい話し込んでしまったのですが、とても心に残る言葉がありました。
「空手は教えてもらうのではなく、自分で考えて稽古するもの。たった30分でも自分の意志で、自分で考えながらやる稽古が一番自分を伸ばすよ。そして続けること」

昨年末お会いしたFUTOさんからもらったのとほぼ同じ言葉です。
また他の人生と空手の先輩から同じ言葉をもらい、励まされるものがありました。


よい出会いがあった今日のひとり稽古でした。