格闘技通信の最新号が出ていますね。
めくってみると、「What is ライコンドー」の第6回が連載されていました。

格闘技通信

ライコンドーは、極真空手のトップ選手だった数見肇と岩崎達也が、宇城憲治先生の古伝空手のエッセンスを取り入れて作り上げた総合格闘技。連載「What is ライコンドー」では、かつて地上最強と自称しながら、今日ではむしろ実戦性の低さを批判されがちなフルコンタクト空手を再生するためのポイントを紹介して います。
第1回から読んでいますが、非常に興味深い指摘に満ちていて、フルコン愛好者は一読の価値あり、といったところです。

今回のテーマは、いよいよ本丸、顔面パンチの克服です。
よく知られているように、極真空手を始めとしたフルコンタクト空手は、試合の中で顔面パンチが禁止されています。本来は、選手の安全性確保のための苦肉の策の顔面パンチ禁止ですが、数十年の競技史の中で、顔面無防備で胸や腹を打ち合うスタイルが定着してしまっています。

木立テセイラ
極真空手第8回世界大会の木立対テセイラ
(顔面パンチがないためどうしても顔面ノーガードの打ち合いが発生してしまう)

そのため、フルコンタクト空手出身の選手は、顔面パンチありになると途端に苦労することになります。顔面パンチありのルールで活躍するフルコンタクト空手出身の選手も、顔面経験の低さを補う為、顔面をガチガチにガードした選手が多く、本来の力を発揮しているとは言いがたい状況です。

グラウベガード
K-1 アーツ対グラウベ
(リラックスした構えのアーツに対し、過剰なまでにガッチリ顔面ガードをしている極真空手出身のグラウベ。)

フルコンタクト空手にとって、言わば十字架とも言うべき顔面パンチへの対応力の低さ。
それをライコンドーはどう克服するのか・・・?

その答えはビックリ、いつものように慣れた相手の胸や腹を打て、というもの。
フルコン出身の選手が顔面を打たれてしまうのは、不慣れで下手な顔面打ちをしようとするから。下手な顔面パンチだからこそ、カウンターを合わされやすい、という理屈。
逆に、慣れたフルコン空手のボディ打ちは、例の四角いスポット に入って打つ打撃のため、スポットを保ちながら打ち合うことになれたキックボクサーは、かえってカウンターを合せにくくなる、そういう主張です。

面白い指摘ですね。
相手の得意な土俵に立たないことは、戦略上重要なこと。
相手に合わせず、いつもの通りフルコンタクト空手の戦い方、顔でなく胸や腹を叩け、というのは奇想天外ですが、一理あります。オープンフィンガーグローブのように薄いグローブなら、胸や腹へのフルコン式パンチは結構効くでしょうしね。

ただし、四角いスポットに入るまでは、顔面パンチありの競技の距離。この時にパンチを合わせられてしまうリスクはどうすべきか? ノシノシと近づくフルコンタクト空手には、顔面パンチありの競技の距離を一瞬ですり抜け、四角いスポットの内側に入る運足はありません。
ここは、Lyotoばりに、松濤館のような踏み込みを身につけるべきなのでしょうか?

ライコンドーは、そこにどんな答えを用意しているのか?
来月号が楽しみです。