「独習セーパイ」シリーズも、今回で完結です。
前回は↓の四股立ちでの右下突きまで でした。
今回はここから、絡み投げを経て最後までいくことにします。
実は、セーパイを学ぼうと思ったのは、摩文仁賢和の「十八(セーパイ)の研究」を読み、型の最後の「絡み投げ」に興味を持ったからでした。
随分時間がかかりましたが、今回、ようやくその絡み投げに辿り着くことができまました。
■□■□■□■□■□
動画は例によって、剛柔流の阿部良樹選手のセーパイ動画です。
http://www.youtube.com/watch?v=2Busqy0ye4U&mode=related&search=
右前の四股立ちから、右足を軸に時計回りに転身、
左足を右前に踏み出す。
左足が決まったら、前足になった右足を引き寄せ、猫足立ちに。
両手は開いて天地の構え(右手上、左手下)
沖縄の型研究家・金城裕先生によれば、天地の構えは「片方は上段、片方は下段」(*)。型の中ではコンパクトな構えですが、実際には、もっと大きく上段と下段に構えるのでしょう。
(*)「月間空手道」p25、8月号、2007年
右足を引いて、左前の猫足立ちになりながら、
両手を握り、円を描くようにして(**)、
右拳が下、左拳が上になるようにねじり引き落とす。
(**)
「空手道形教範」での阿部良樹選手の演武では、ここの両手の動きは、ハンドルを回すような円の動きですが、この動画では、まるで釣竿を振るような動きになっています。その方が、動きにキレはあるのですが、絡み投げをするには、ハンドルのような動きの方がいいはず。
両手を重ねて納め、結び立ち。
礼。
■□■□■□■□■□
絡み投げ部分の分解です。
http://www.youtube.com/watch?v=rhDyabE6Uv4&mode=related&search=
相手(左)が左足から踏み込み、
上下に分けた諸手突き。
これを、天地の構え=上段受け+下段払いで受け。
右手が上段受け、左手が下段払いです。
それぞれ、突きに対してクロス(右には右、左には左)の手で受けているのがポイントですね。
立ち方は猫足立ち。
右手を下に、左手を上に、円を描くように回し、
途中から相手の手を握り、
更に絞り上げて、
絡み投げ。
そのまま相手を転がし、
両手を開いて、
鉄槌の下段回し打ち。
さて、この動画では、相手の攻撃は上下の諸手突きですが、実際にはこうした攻撃をしてくる人っていないですよね(笑)。このスペイン語の動画はかなり勉強になるのですが、この部分はいただけない。
こういう指導をされると、「こんな攻撃してくる奴いるのかよ」→「やっぱり型は使えない」となりかねません。
その点、摩文仁賢和の「十八(セーパイ)の研究」(1934年)は、立派です。より現実的な攻撃をしてくる相手に、絡み投げを決める内容になっています。
「十八(セーパイ)の研究」では、
(1)相手の右手の上段突きを、右手(開手)で上段受け。
(2)右手を握り、相手の右手を掴んで固定。
(3)相手が状況を打開しようと、左手で中段を突いてくるのを
左手で下から上に掬い受け。
(4)左手を握り、相手の左手を掴んで固定。
(5)両手を時計回りに回して絡み投げ。
という段取りです。
最初から諸手突きではなく、相手の突きを一つ一つ受け→掴みで封じながら、結果的に両手を制してしまう、という流れは自然ですね。1934年に、こんな合理的な分解が公開されていたなんて、驚きです。
■□■□■□■□■□
セーパイは、振り返るとなかなか興味深い型でした。
● 相手の掴みを外す肘打ちアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030493296.html )
● 大きく回転する転身アリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● スタンドでの脇固めアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030572141.html )
● DDTのような捨て身技の投げアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10032808567.html )
● 入り身投げアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● 絡み投げアリ(この投稿)。
空手の型としては、投げや関節技の登場が多い方ですよね。
もちろん、突きや蹴りもしっかり。
特に手技は、金的を突く技が多く、古い型ならではの実戦思想が伺えました。
● アウトサイドからの金的打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030518125.html )
● 転身して金的への弾指打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● 突きを捌いてからの下段打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10036917689.html )
他にも、古伝の技法っぽい前手攻め、後手受けの手技もありましたね。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030493296.html )
空手の代名詞である空手チョップ=手刀打ちも、アウトサイドポジションからの打ち込みなど、効果的な用法が見られました。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030518125.html )
後は、首手系の型ではあまり見ない下突きも。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10036917689.html )
こうしてみると、セーパイは、空手の多様性の証のような型ですね。
スパーリングやミット打ちだけでは、こぼれ落ちてしまう、空手らしい技法、それらを忘れないように体に染み込ませるのに、いい型と言えるでしょう。せっかく独習して一通りの挙動と分解を覚えたので、あとは実践ですね(笑)。
■□■□■□■□■□
(2007.7.13追記)
セーパイは、このくらいにして、ブログ上では他の型へ・・・と思っていたら、またセーパイの興味深い分解動画に出会ってしまいました。もうしばらく、型はセーパイのことばかりになりそうです。
→「掴んで打って崩して投げる 沖縄剛柔流のセーパイ分解 」
前回は↓の四股立ちでの右下突きまで でした。
今回はここから、絡み投げを経て最後までいくことにします。
実は、セーパイを学ぼうと思ったのは、摩文仁賢和の「十八(セーパイ)の研究」を読み、型の最後の「絡み投げ」に興味を持ったからでした。
随分時間がかかりましたが、今回、ようやくその絡み投げに辿り着くことができまました。
■□■□■□■□■□
動画は例によって、剛柔流の阿部良樹選手のセーパイ動画です。
http://www.youtube.com/watch?v=2Busqy0ye4U&mode=related&search=
右前の四股立ちから、右足を軸に時計回りに転身、
左足を右前に踏み出す。
左足が決まったら、前足になった右足を引き寄せ、猫足立ちに。
両手は開いて天地の構え(右手上、左手下)
沖縄の型研究家・金城裕先生によれば、天地の構えは「片方は上段、片方は下段」(*)。型の中ではコンパクトな構えですが、実際には、もっと大きく上段と下段に構えるのでしょう。
(*)「月間空手道」p25、8月号、2007年
右足を引いて、左前の猫足立ちになりながら、
両手を握り、円を描くようにして(**)、
右拳が下、左拳が上になるようにねじり引き落とす。
(**)
「空手道形教範」での阿部良樹選手の演武では、ここの両手の動きは、ハンドルを回すような円の動きですが、この動画では、まるで釣竿を振るような動きになっています。その方が、動きにキレはあるのですが、絡み投げをするには、ハンドルのような動きの方がいいはず。
両手を重ねて納め、結び立ち。
礼。
■□■□■□■□■□
絡み投げ部分の分解です。
http://www.youtube.com/watch?v=rhDyabE6Uv4&mode=related&search=
相手(左)が左足から踏み込み、
上下に分けた諸手突き。
これを、天地の構え=上段受け+下段払いで受け。
右手が上段受け、左手が下段払いです。
それぞれ、突きに対してクロス(右には右、左には左)の手で受けているのがポイントですね。
立ち方は猫足立ち。
右手を下に、左手を上に、円を描くように回し、
途中から相手の手を握り、
更に絞り上げて、
絡み投げ。
そのまま相手を転がし、
鉄槌の下段回し打ち。
さて、この動画では、相手の攻撃は上下の諸手突きですが、実際にはこうした攻撃をしてくる人っていないですよね(笑)。このスペイン語の動画はかなり勉強になるのですが、この部分はいただけない。
こういう指導をされると、「こんな攻撃してくる奴いるのかよ」→「やっぱり型は使えない」となりかねません。
その点、摩文仁賢和の「十八(セーパイ)の研究」(1934年)は、立派です。より現実的な攻撃をしてくる相手に、絡み投げを決める内容になっています。
「十八(セーパイ)の研究」では、
(1)相手の右手の上段突きを、右手(開手)で上段受け。
(2)右手を握り、相手の右手を掴んで固定。
(3)相手が状況を打開しようと、左手で中段を突いてくるのを
左手で下から上に掬い受け。
(4)左手を握り、相手の左手を掴んで固定。
(5)両手を時計回りに回して絡み投げ。
という段取りです。
最初から諸手突きではなく、相手の突きを一つ一つ受け→掴みで封じながら、結果的に両手を制してしまう、という流れは自然ですね。1934年に、こんな合理的な分解が公開されていたなんて、驚きです。
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セーパイは、振り返るとなかなか興味深い型でした。
● 相手の掴みを外す肘打ちアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030493296.html )
● 大きく回転する転身アリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● スタンドでの脇固めアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030572141.html )
● DDTのような捨て身技の投げアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10032808567.html )
● 入り身投げアリ、
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● 絡み投げアリ(この投稿)。
空手の型としては、投げや関節技の登場が多い方ですよね。
もちろん、突きや蹴りもしっかり。
特に手技は、金的を突く技が多く、古い型ならではの実戦思想が伺えました。
● アウトサイドからの金的打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030518125.html )
● 転身して金的への弾指打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10031383788.html )
● 突きを捌いてからの下段打ち
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10036917689.html )
他にも、古伝の技法っぽい前手攻め、後手受けの手技もありましたね。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030493296.html )
空手の代名詞である空手チョップ=手刀打ちも、アウトサイドポジションからの打ち込みなど、効果的な用法が見られました。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10030518125.html )
後は、首手系の型ではあまり見ない下突きも。
(http://ameblo.jp/hamikara/entry-10036917689.html )
こうしてみると、セーパイは、空手の多様性の証のような型ですね。
スパーリングやミット打ちだけでは、こぼれ落ちてしまう、空手らしい技法、それらを忘れないように体に染み込ませるのに、いい型と言えるでしょう。せっかく独習して一通りの挙動と分解を覚えたので、あとは実践ですね(笑)。
■□■□■□■□■□
(2007.7.13追記)
セーパイは、このくらいにして、ブログ上では他の型へ・・・と思っていたら、またセーパイの興味深い分解動画に出会ってしまいました。もうしばらく、型はセーパイのことばかりになりそうです。
→「掴んで打って崩して投げる 沖縄剛柔流のセーパイ分解 」